京稜九条の会 『内部被ばくを生き抜く』上映会

京稜九条の会:主催 『内部被ばくを生き抜く』上映会に参加しました。
この映画は、鎌仲ひとみ監督の最新作で、劇場公開と並行して上映権つきのDVDを販売することで、草の根的に上映の輪を広げていこうという異例の興行スタイルがとられています。



映画は、福島第一原発事故で拡散した放射性物質による内部被ばくについて、医師のインタビューを織り込み、内部被ばくとどう向き合うべきかを問いかけています。


インタビューに答えるのは、広島の被爆者を診察し続けてきた肥田舜太郎さん、チェルノブイリイラクで医療支援を続ける鎌田實さん(諏訪中央病院名誉院長)、福島で除染に取り組む児玉龍彦さん(東京大アイソトープ総合センター長)、チェルノブイリの小児科医師スモルニコワ・バレンチナさんの4氏。


児玉龍彦さんは、内閣府が示した除染費用の目安である、一戸建て70万円について「それでは屋根に付いた放射性物質は除けない。実際は、500から1000万円かかる。除染は可能であるにもかかわらず、高額な費用が、除染は無理という話にすり替えられている」と訴えます。


劇中には、福島県二本松市で幼稚園を経営する寺の副住職・佐々木道範さん家族や園児、保護者たちも登場。子どもたちを放射能から守ろうと、除染や食材の調達に懸命に奔走する姿が映し出されました。

佐々木さんは、園の屋根を300万円かけて張り替え、子どもたちが飲む牛乳などの放射能を測るため、NPO法人をたちあげ500万円かけて機器を購入しました。「基準値以下ならいいとは思えない。ちょっとでも入っていたら与えたくない」その思いで、毎日の計測を欠かしません。


また園児の母親は「子供のことを考えるなら、なぜ移住しないの?とよく言われる。しかし動きたくても動けない事情をたくさん抱えている。子供のことを考えない親なんていない」と涙ながらに訴えました。
佐々木さんは、福島の親たちは「子供を守れなかった」という罪悪感にいつもさいなまれている。そうした親たちをフォローするのも自分たちの役目と語りました。
体全体、こころ全体を診る検診システムを作ることが必要だと、この映画は説きます。


上映後の意見交換では、大飯原発再稼働問題、原田正純先生のこと、水俣病の教訓から原発事故補償の問題をどう考えるか、がれき広域処理の問題などが活発に論議されました。


いずれの問題も、国がちゃんと基準を定めて、国の責任で処理、保障することが大切だ、という意見がでた一方、しかし国がその責任を果たしてきたことがあっただろうか、水俣病の問題でも、地域や時間で認定患者を細かく線引き、切り捨てをしようとしているではないか、との怒りとも諦めともつかないような意見も出されました。


いずれにせよ、原発問題については、これからもあきらめず粘り強く声を上げ続けていくことが大切ということで、今回の会をしめくくりました。